日本市場の信用取引残高推移

全株信用取引残高推移を集計・グラフ化しています。
過去10年分程度の推移になります。

<信用買い残高>

<信用売り残高>

「指標の見方」

<信用買い残高>

減少傾向の時は基本的には相場見通しは弱気となっており、相場としては下がりやすい傾向にあります。過去の事例では2016年の人民元ショック・ドイツ銀行AT1ショック時や2018年の米国金利引き上げおよび米中貿易戦争による下げ局面ではその傾向が顕著でした。一方残高増加時は投資家がかなり強気になっていることから相場上昇確度は高い状態になっています。2013年のアベノミクス開始時や2017年によるトランプ政権誕生による減税期待時は大きく信用買いが積み上げられ、それと同時に相場が上昇する現象が確認できました。ただし買いが行き過ぎた場合には買いエネルギー出尽くしとなるため、やや警戒が必要になっていきますので、買い残高増加が止まり横ばいとなったところが相場としては一番危ない傾向にあります。基本的には信用売り残高より金額は大きく、よりブルで強欲な投資家が出現した時には一気に買い残高を積み上げることによって相場を一気に押し上げるといったことが往々にして起こります。

<信用売り残高>

基本的に市場が割高だと思う投資家が増加すると残高が増加傾向で推移しますが、それがすぐに相場下落を意味するわけではありません。逆にそうした売りを踏みあげながら上昇していく局面も多々あり、一概に増加・減少することによってこういう相場の動きをすると決めつけることは難しいです。2017年や2019年には信用売り残高は積み上がったものの、結局相場はレンジから上昇に転じていくなかでこうしたショートプレーヤーを踏みあげて行って相場は上昇していきました。また信用買い残高と比べるとリスクが高いということもあり金額自体が少ないのも特徴の一つです。「買いは家まで、売りは命まで」とはよく言ったもので、信用買いより信用売りの方が逆をつかれた時に致命傷を得やすいということも買い残高より少ないことの一因とも言えるでしょう。また相場が下落する時はどちらかというとヘッジ売りしているだけという玉も多いのか残高は積み上がる方向ではなく、利益確定していくため残高が減少していく傾向にあるのが見て取れます。